絶妙なカラーリングとフォルム！ASICS GEL KAYANO 5 OG HBX フォトレビュー

アシックスの名作として数々のモデルがリリースされ続けているGEL-KAYANOシリーズ。
その中でも復刻が待ち望まれた一足がGEL-KAYANO 5 OG。
1999年のリリースから2周年となる今年は多くのカラーが発売され、ファンにとっては嬉しい年になりそうだ。
そんなアシックスの根強いファンを持つ一足が、常に最新の情報を発信し続けるHYPEBEASTを運営する会社による香港のセレクトショップ「HBX」とのコラボレーションによって新たな表情を見せる。

ランニングシューズとして作られたモデルが絶妙なカラーブロックとトゥ部分の素材変更により、ボリューム感のあるフォルムを残しながらも大きく印象を変化させている。
スポーティさのある爽やかなホワイトの中に目を惹くカラーを組み合わせて配置し、それぞれが引き立て合っている。
色味も原色を使わずに深みのあるトーンを使い、鮮やかながらも派手というよりは上品な雰囲気に仕上がっている印象。

そんな目を惹くアッパー部分は複数の色を使い分けるだけでなく、素材もナイロンやメッシュ、スエード、プラパーツのアシックスストライプを使用する事で質感でも様々な要素が混在している。
トゥ部分も通常モデルのメッシュを大胆にホワイトのスエードに置き換え、レザー部分や白いシューレースとの組み合わせで奥行きを演出している。
また、ホワイトスエードにはアクセントとなるゴールドを思わせる不思議な配色の差し色でアクセントを持たせたり、一見同色に見える先端外側の異素材はリフレクターの機能を持たせている。
縫製のクオリティも数あるブランドの中でも以上に精度の高さを感じられる。
画像をズームしたり、実物を手に取る機会があれば確かめてみてほしいポイントだ。

ヒール部分は複雑なトーンとホワイトのアッパー、そしてわずかに色が濃いミッドソールやゲルの色味が混在する隙の無いデザイン。
深夜の感受性を落ち着いたトーンで表現し、夏のエネルギーをコントラストに落とし込むなど爽やかな外観で夏のシーンをイメージした一足である事が伝わってくる。
もちろん様々な色味が入っているので、夏以外の季節にも合わせる事が出来るデザインだと感じた。
履き口はメッシュ素材を使用しているため、通気性も良さそうだ。

ソール部分はクリームがかったホワイトで構成される。
ヒールのゲルやアーチサポート部分は通常モデルのように目立たせる仕様ではなく、統一感を重視し同系統の色味でまとめられている。
ランニングシューズのギミックを全面に押し出さず、しかしHBXが手掛けるデザインセンスによって筋肉をイメージしたミッドソールの隆起や体内の臓器を表現したアウトソールのディテールはしっかりと感じられる点はさすが。
ベージュに近いホワイトを使用する事で、陰影をもたせて造形美が感じられるようになっていると感じた。

また、通常のGEL KAYANO 5 OGよりも少し高いプライスとなっているHBXとのコラボモデルだけに付属品も充実している。
クリーンなホワイトのシューレースとは雰囲気が異なるリフレクタ－仕様のシューレースや、複雑な色味で暖かみのあるグラデーションのインソールで表情を変える事が出来るこだわりを感じられる。

シューレースを交換してみた。
平紐とロープレースの中間のような仕様のホワイトのシューレースはクリーンな印象だったが、こちらのロープレースはホワイトの中にグレーのリフレクターが編み込まれている。
網目の柄とリフレクターにより一色追加された状態となり、チャンキー(厚め)なソールと相まってスポーティかつ精悍な雰囲気に表情が変わる。
チョイスする服装に合わせてシューレースを変える事で、様々な場面で使える一足となるはず。

暗い所で光らせてみた。
ホワイトのアッパーや絶妙なカラーブロックと組み合わさって光る様子は、夏に脳裏をよぎるエネルギーや感覚を表現する、感情に訴えかける雰囲気を醸し出しているのではないだろうか。
もちろんホワイトのシューレースの爽やかさも捨てがたいので、手にした人は交互に様々な服装と併せてみると迷いつつ楽しむ事が出来るはず。

夏の一日の終わりを表現したというインソールは、ゴールドの中に輪郭のない複数のカラーが溶け込んでいる。まさに捉えどころのない感情の機微を表現している可能ような絶妙な配色。
履いてしまうと分からない部分だが、足を入れる前に覗く美しい色味を履く度に楽しむ事が出来る。
ちなみに標準のメッシュ基調のインソールとは表面の仕上げが異なり、滑りの良い素材が使われている。
季節やソックスとの組み合わせで印象が異なる履き心地になると思うので、好みや用途で使い分けても良さそうだ。

アスリートのギアとして生み出されたモデルを独自のセンスで上品かつ爽やかな雰囲気に仕上げたGEL KAYANO 5 OG HBX。
インターネット黎明期のWEB1.0の世界観を落とし込んだデザインは、現在のソーシャルメディアが台頭し情報過多となった現在とは異なり、単一方向の発信がメインの情報に余白があった時代を、ホワイトのアッパーで表現しているかのようだ。
1999年に誕生したモデルに当時のレトロフューチャーな雰囲気を取り入れつつ、個性のある一足になっていると感じた。
手に取るとそのディテールが目を楽しませてくれて、履いてみたくなるはず。

ちなみにサイズ感は各ブランドの中では標準的と感じた。
アシックスというと広めと想像する人もいると思うが、ASICS Tigerは世界展開されているためかナイキなどに近い印象。
エアマックス系のマイサイズと同じものを選んで問題ないと感じた。
横に狭いと言われているエアマックス95よりは同サイズ比でやや幅は広め。
先端もやや角度があるためかそれほど広くなく、甲も気持ち低めに作られているのでシューレースをこのページの
写真のように締めるには、迷ったら小さめより大き目をチョイスした方が無難だと感じた。
ヒールカップはくぼみが設けられているので収まりが良く、歩いた時に踵が浮きにくい。
(筆者はやや広めの脚幅、甲は低め。足の形状など個人差があるので参考としてお考え下さい。)