AIRMAX 1 OA YT TOKYOMAZE 写真で詳細レビュー
前回、AIRMAX 1 TOKYOMAZEをデザインした宅万勇太氏に入れてもらったサインを紹介したが、今回は写真でそのディテールを紹介したい。地下鉄や様々な要素から、東京に迷路を見出したという宅万勇太氏。単に迷路の柄にレインボーのシューレースを配したという訳ではなく、この1足に落とし込まれた東京を表現するポイントやそれを表現するための作り込まれたディテールを見ていこう。
デザインとしても好評なアッパーのデザインはアシンメトリー(左右非対称)だが、白と黒を反転させて作られている。このためか、左右別々のデザインだったり複数色で非対称を構成するデザインよりもコーディネートはしやすそうだ。スペシャル感と統一感を併せ持つ印象に仕上がっている。
続いてサイドビュー。マッドガードや履き口、ヒールカップなど複数のパーツで構成されるアッパーは、すべて同じ柄ではなく、線の太さや迷路の密度、直線と曲線が巧みに使い分けられているのが分かる。
また、左右共通のディテールが採用されてるナイキ スウッシュのホワイトは宅万勇太氏が鹿児島から上京して東京の色に染まる事があっても、染まらない白い部分を残しているというメッセージが元になっている。ミッドソールのブラックはデザインが引き締まる要素だと感じるが、汚れを目立ちにくくして永く履いてほしいという考えとのこと。
ズームアップするとTOKYOMAZEの名にふさわしい迷路の柄がしっかりと表現されている。写真で再現するのが難しかったが、アッパーの柄はエンボス加工が施されおり、白い部分が浮き出している(黒い部分がプレスされている)。触ると凹凸を感じる事が出来るが、単なるプリントでは無く細かい質感までディテールを詰めている。手にした人、これから手にする人も、指でなぞってその質感を感じてみてほしい。
← 横にスワイプすると左右の比較が出来ます →
全体的なシルエットでエアマックス1だと分かる人もいるかも知れないが、更にパーツごとに迷路の意匠を変えることで境界線を認識する事が出来る。そこにオリジナルのデザインの面影が残っている。
その他の国で選ばれたのはエア ヴェイパーマックス プラスやエアマックス97、98というエアボリュームのあるモデル。
その中でもAIRMAX 1はビジブルエアが控えめな、原点ともいえるモデル。それを選択したという点にもこだわりを感じる。
ソールはクリアが採用されている。当初はミッドソール同様ブラックで統一する予定だったとのことだが、AIRMAX 2 LIGHT atmosをデザインしたアトモスの小島 奉文氏の助言により製作可能なデザインの中で選択肢が広がり、現在のクリアソールの中に文字を透かして見せるデザインが完成したという。
ちなみに完全なクリアではなくスモークがかっているのは、汚れにくさにもつながっている。デザインの統一感にもつながっていると感じるし、気に入ったスニーカーを履き始めに近い状態で履いてほしいという思いがデザインにもしっかりと反映されている。
← 横にスワイプすると左右の比較が出来ます →
ヒール部分はより左右の違いを見比べる事が出来る。また、ナイキロゴを取り囲むパーツの部分は当初のサンプルから線の太さを変更してほしいと宅万勇太氏がリクエストするなど、完成に至るまでに細かい部分を納得するまで煮詰めているとのこと。マッドガードに囲まれたトゥ部分などにもそのこだわりが反映されている。
曲線と直線を使い分けた迷路は、複雑な東京の地下鉄を迷路で表現しただけでなく、様々な人との出会いなどにより自身の価値観を迷わせる東京という街の概念的な印象までも表現しているという。デザインのディテールに加えて、そのデザインに投影された作り手の考えや想いまでもが込められている事で、スニーカーの奥行が増しているのではないだろうか。
ちなみに、昼と夜の違いをアシンメトリーで表現するという目に見える東京の様子も再現されている。
ブラックのミッドソールから顔をのぞかせるエアユニット。この部分のレッドにも東京の要素がエアと同様に封じ込められている。この赤の発色は東京タワーの赤をイメージして決められたもの。
モノトーンの中に差し色の赤いエアユニットが入れられたデザインも、その理由を知ると納得できるし更に履くのが楽しくなる。
← 横にスワイプすると左右の比較が出来ます →
インソールも同様にアシンメトリー。NIKEロゴは先ほどのエアユニットと同様に朱色に近いレッドでプリントされる。ヒール部分の刺繍されたロゴも同様だ。ちなみにヒール部分のマテリアルも通常のエアマックス1が布やメッシュのようなものを採用しているのに対し、耐久性と高級感を演出するためにレザーが使われている。
これもAIRMAX 1 TOKYOMAZEを沢山履いて歩けるようにという心遣いだ。
← 横にスワイプすると左右の比較が出来ます →
シュータンも左右非対称でこの部分はシューレースと重なる部分。シューレースの色次第で表情が大きく変わりそう。なので付属の5種類のシューレースも左右で異なるものを通してみると楽しそうだ。
こうして細部まで見ていくと、手にする前以上にデザインが作り込まれているという事が分かった。今回は発売前から話題と期待が大きかったAIRMAX 1 TOKYOMAZE。行列に参加したアトモス明治通り店も、指定のスニーカーを着用した場合のみ参加出来るドレスコードが適用されたにも関わらず、かなりの行列が発生していた。(行列に日常的に参加している方にとっては驚かないと思われるが)
そのデザインと話題性で人気になっているのはもちろんだが、客観的な東京の要素が巧みに盛り込まれているだけでなく、主観的な東京に対する印象や想いが込められている1足という事を知ると、そのディテールにも深みを感じてしまう。
また、モデル名も「AIRMAX 1 OA YT」と宅万勇太氏のイニシャルとなっているのは、ご本人にとってとても感慨深いのではないだろうか。SNKRSではON AIR:TOKYOとなっていても「AIRMAX 1 OA TYO」とならずにイニシャルがモデル名に入るのは凄い事だと思う。このスニーカーも大事に履いていきたい。
次は付属品の凄さについて紹介する。