sneakerwolfの個展 “Super Deform(スーパーディフォルメ)” レポート 江戸文字をアートに昇華!
ストリートアートに漢字をモチーフにした”Kanji-graphy(カンジグラフィ)”という書体デザインを作品に落とし込んだ作品でアシックスとのコラボレーションや大手企業のアートワーク、ステッカーなどのデザインで注目を集めているアーティスト「sneakerwolf(スニーカーウルフ)」。
歌舞伎や落語の寄席、相撲の番付表、法被(はっぴ)など、江戸時代から根付く日本文化の中で多用されてきた江戸文字。
そのグラフィティ(ストリートのアートとしての落書き)要素と、自身が多大な影響を受けた90年代ストリートカルチャーの交錯を作品に投影した作品をこれまでに多く発表してきた。
そんなsneakerwolfのアート作品やストリートアートなどの作品群が結集した個展「Super Deform」の様子を原宿のITHギャラリーからお届け。
開放的な空間を贅沢に使用したギャラリー内には迫力のサイズのアート作品が所狭しと並ぶ。
自身がこれまでに手掛けてきたアートワークを平面から立体的な作品に変化させた迫力の作品群は初のお披露目との事。
展示されている作品や、そのディテールをご紹介。
sneakerwolf氏が得意とする曲線や美しい色味を多用して仕上げられた江戸文字をモチーフにした作品。
落語で満席を祈願した文字の隙間を詰めた寄席文字など、アート的な側面と表現者の願いなどが込められたデザインとストリートアートの要素を融合させた”Kanji-graphy(カンジグラフィ)”。
躍動感や用いる色などで漢字の意味や字の雰囲気をより感じる事が出来る。
炎や水のような色を用いて、ペンキが垂れてくる雰囲気を造形に落とし込んだ作品。
これらは自身が影響を受けた90年代のストリートカルチャーと時を同じくして生み出された、ガンダムやビックリマンなど、頭身を圧縮や強調したキャラクターが多く登場した当時のDeform(デフォルメ)という日本独自の要素を取り入れて再構築・再解釈されて生み出されたもの。
額縁のような枠に収まった作品は、より細かくカットされた複雑な造形。
立体的な作品ながら平面のアート作品のように枠で囲んで仕上げられており、斬新な印象。
黒とコントラストを成す赤い色は、浮世絵で描かれてきた赤富士などを想起させるような発色だと感じた。
こちらはポップなキャラクター。
キャラクターの中にも漢字のフォルムの要素や文字が表す言葉の形がさりげなく表現されているような印象を受ける。
飛び散ったペンキがグラデーションになっており、作品に奥行や動きのようなものを感じさせてくれる。
WEBはもちろん、アートワークの作品などでもインパクトを感じた同氏の作品を今回は発泡性のフォームボードにペイントして仕上げられている。
さらに、立体的に細かく切り出された造形はレーザーカッティングによるもの。
細部は手作業によって繊細に仕上げられている。
その立体感は新たな表情を感じさせ、照明によって壁面にも影が投影され、立体感を感じさせてくれる造形になっている。
立体感のある造形だけでなく、塗料を大胆に塗り付けた表現にも迫力を感じる。
塗料の垂れ落ちる様子や飛び散った部分は、その細かい質感なども間近で見る事が出来る。
これはWEBではチェックが難しい部分であり、現地で作品を見る醍醐味にもなると思うので、是非会場に足を運んでその質感を確かめてみて欲しい。
こちらはアートワークなどの平面の作品やストリートアートの作品群。
アシックスやスニーカーショップとのコラボレーションでスニーカーシーンでも話題となったが、大手企業のアートワークなど活動のフィールドは幅広い。
スケートボードや企業のロゴマーク、サンドペーパーなど、その題材も自由で多様性に富んでいる。
ストリートカルチャーと伝統的な日本の感じなどの文化を自身の作品に独自の解釈で落とし込み、作品として表現しているsneakerwolf氏。
普段は実際に見る事が難しい作品の質感や造形、作品群が一堂に会した展示は3月1日まで。
是非会場に足を運んで、作品を堪能してみてほしい。
【開催概要】
住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-9-4 和秀ビル1F
会場名:ITH gallery(ITH ギャラリー)
開催時間:13:00~19:30
期間:3/1(日曜)までの開催。
アクセス:ITH galleryへの地図を表示